<みんなに聞くvol.02>〜交流をやめない! 当たり前にとらわれない社会を目指して〜
『みんなに聞く』シリーズはLGBTQ+の当事者をそうでないひとが気軽におしゃべりをする『みんなの居場所』に集まるひとたちの声を皆さんにお届けしていきます。
第二弾となる今回は、尼崎市の杭瀬市場で『好吃(ハオチー)食堂』の女将を勤めながら、コミュニティナースとしても活躍する福田祥子さんにインタビューを行ないました。
飾らない人柄で多くの人を惹きつける福田さん。MixRainbow®とは2023年末の『みんなの居場所』屋外開催をキッカケに、さまざまなイベントで交流しています。
そんな彼女へインタビューをしていると、過ごしやすい人生のヒントが見えてきました。
インタビュアー:ポスワンのカノ―( https://poswancom/ )

アライとして感じた違和感
※アライ=LGBTQ当事者ではないが、応援する立場の人のこと
福田さんは神戸市須磨区に生まれました。
小学生にあがってすぐ、「男女」に分けられることに違和感を覚えたと語ります。トイレや男女の列、ランドセル、「君」「さん」などの敬称だけではありません。子どもたちの中の『男女の普通』が理解できなかったそうです。
小学生で出会った男の子Aくんとの交換日記では、「男子が交換日記をするのはおかしい」との声が上がりました。
自身の誕生日会にAくんが来てくれた時も「僕が来たことは、周りの男子にバカにされるから内緒にしてほしい」と懇願されました。
他にも、幼馴染のBくんと遊んでいるとある女の子に「●●ちゃんが好きなんだから、Bくんとベタベタしないで。女子なんだから分かるでしょ?」と言われたエピソードも。
男のくせに、女なんだから。に振り回されましたが、自分を曲げたくない福田さんは自分を貫き続けました。困惑しながらも、交流を断絶することはせずに高校を卒業しました。
その後、専門学校で看護資格を取得して看護師となります。
看護師としての限界を迎え、気づくと女将をしていた
長年看護師として多忙な日々を送る中、心身ともに疲弊していた福田さん。ふと、周りに医療関係者しかいないことに気づきました。ご飯を食べに行くのも、普段何かを相談するのも、すべて看護師。
寂しさを抱えながら帰路につくある日、ふと帰り道にあった尼崎の寺『西正寺』で落語イベントのポスターが目に入りました。
「同級生が出演している!」
ひょんなきっかけで、地域の方やお寺の方、市議会議員など垣根なく交流することになりました。さまざまな方に医療従事者ならではのアドバイスをしたり、相談を受けたりする中である人に言われました。
「あなた、まさにコミュニティナースだね」
資格の有無は関係なく、地域の中でみんなで社会的に健康になっていくコミュニティナースのコンセプトに惹かれた福田さんは、すぐに活動をスタートさせます。
※コミュニティナースは株式会社CNCが提唱するコンセプトで登録商標です。
https://community-nurse.jp/cn
また、同時期に『好吃食堂』の女将として働く機会が舞い込みました。
新しい出会いと交流によって人生が大きく変わり、現在は地域に愛されながら子育てもしやすい環境に身を置いているそうです。


MixRainbow®との出会い
MixRainbow®とは、移転先を探していた頃に杭瀬市場のテナントが案として上がっていたころに、みのり理事長が食事に伺ったのが最初の出会いです。
気さくな二人はあっという間に意気投合。数々の交流を経て、2022年11月MixRainbow®『みんなの居場所』にて講演したそうです。
2023年には、みんなの居場所を『好吃食堂』で開催し、2024年には福田さんが主催する講演会にみのり理事長が登壇しました。

LGBTQイベントで感じた壁
福田さんは、2024年の神戸レインボーフェスタにコミュニティナースとして、相談ブースを出店しました。驚いたのは、他のイベントでの出店時よりも多くの相談者がいたことです。
福田「当事者は、せきを切ったようにたくさんお話を聞かせてくれました。普段、話せる相手がいないのかもしれません。でも、それは想定していたんです。びっくりしたのは、アライの皆さんからの相談です」
勉強のためにレインボーフェスタを訪れていたらしいアライの一人が、「誰かを傷つけたらどうしよう」との不安から相談ブースに訪れていました。
福田さんのアドバイスは「人それぞれなんだから、何に傷つくかは分からないですよね! 本人に聞いてみたらいいと思いますが、まずは当事者にアドバイスをもらいましょう!」というもので、すぐにMixRainbow®の関係者でゲイを公言している方につないだそうです。
当事者との交流が相談者の優しさをより豊かなものにするだろうと思っての判断だったといいます。

紆余曲折の人生の中で気づけた、交流の大切さ
交流の中で人それぞれの違いを見つめてきた福田さん。今も古き良きおせっかいの残る杭瀬商店街内で町のみんなと子育てをしながら食堂の営業を続け、コミュニティナースとしてあらゆる人との交流を続けます。
最後に福田さんに、今後について聞きました。
福田「交流せずして、さまざまな国籍、さまざまな性別などについて、「当たり前」にとらわれるのは窮屈だと思います。MixRainbowさんの『みんなの居場所』や私の『好吃食堂』のように、気兼ねなく交流できる場所を増やしていきたいです」
<取材協力>
福田祥子さん
『好吃食堂』( https://www.instagram.com/haochi_diner/ )
『ヌック』( https://www.instagram.com/neuk_amagasaki/ )
当事者も、そうでない方も、月に一度の会にぜひお越しください。
『みんなの居場所』( https://www.mixrainbow.jp/event/ )